富取風堂(本名・次郎)は、明治25年東京都に生まれました。子供の頃から安雅堂画塾で松本楓湖にや今村紫紅に学びました。速水御舟らと、大正3年に「赤曜会」を結成し、日本画の研究に努めました。その後、関東大震災で被災し、翌年、市川市に移住し、亡くなるまでこの地で過ごしました。
この作品は、早朝の微光の中に漁師町であった昔の懐かしい浦安の風情ともいえる境川の船溜まりの様子 が描き出されています。静かで穏やかな夏のひと時の様子ですが、高く堂々とした灰緑色の浦安のシンボル だった大松、重なる白色の帆かけ船、白く小刻みな波紋を見せる水面、灰色や薄茶色の家並みが巧みに配置され、自由な感覚が躍動しています。
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