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 県美メールマガジンNo.80

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★千葉県立美術館は    ★
☆耐震改修等工事のため、☆
★休館しています。     ★
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3月11日で東日本大震災から丸2年が経ちましたが、未だ多くの方々が避難を余儀なく
されております。避難されている皆様の帰還と一日でも早い復興を祈念いたします。

今年の冬は寒いと思っておりましたら、先日の千葉は5月中旬の暖かさと、季節が目
まぐるしく移り変わるようです。近くの公園の河津桜も咲き始め、花も梅から桜へと
変わりはじめたようです。

さて、今月号では当館で実施した「浅井忠記念賞展」の第2回展で優秀賞を受賞した
高森登志夫の「絵画」を取り上げます。
また、平成25年度のワークショップをお手伝いいただくワークショップサポーターを
募集しますので、お手伝いをいただければ幸いです。

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☆★長期休館のお知らせ★☆

千葉県立美術館は耐震改修等
工事のため、平成27年3月
(予定)まで休館しています。
改修後の開館時期については、
工事の進捗状況などにより変
更になる可能性があるため、
決まり次第、当メールマガジ
ンやホームページ等でお知ら
せします。

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◆かたる◇●みる○◆かたる◇

○「絵画」 130.3×193.3cm 高森登志夫
昭和60年、日本がバブルの好景気を迎える頃、本館主催で全国公募の企画展「浅井忠
記念賞展」第2回展が開催され、応募372点中、大賞1点、優秀賞3点の作品が選ばれ
ました。この作品「絵画」高森登志夫作は、優秀賞を受賞した3点のうちの1点です。
「浅井忠記念賞展」は、本館の代表的作家、浅井忠の精神を現代に生かし、リアリズ
ム表現を追求する現代美術の振興に貢献しようというものでした。
作者は昭和22年生まれ、本県東金市出身で、当時38歳。シェル美術賞展、日本国際美
術展など数々の公募展で受賞を重ねていました。

作品のモチーフとなった場所は、津田沼駅前ダイエーの、上方階にあるお蕎麦屋さん
だそうです。まるで写真のようですが、よく見ると中央で分かれる二つの風景になっ
ています。
作者に伺ったところ、例えば遠くのお月さまは誰が見ても同じように見えるけれど、
近くの景色は近くに座っている二人から見ても、見る角度が違うとまるで違って見え
る。それを作品にしています。
この絵では向かい合った人それぞれの視点から近景が描かれ、窓の外の遠景は共通し
て見えるため一つに繋がっています。視点のトリックを作品にしているのですが、そ
れはそのまま二人の感情をも表しているかのようです。個々の心があって、遠くには
同じ思いがあるような。

作者はこの頃、鏡や窓、ドアなどを使って、対象と自分の位置関係をテーマとした克
明な描写の作品を多く描いています。
この作品について作者は、「私の主題は、対象そのものではなく、対象との曖昧な関
係を含んだ思いのようなものであり、あえて言えば、画面のこちら側にある。」と語
っています。

作者が作品発表を始めた昭和49年頃はコンセプチュアルアートという芸術運動の全盛
期でした。この運動は、言語、図表、写真、パフォーマンスなどを用いて事物の本質
を捉えようとしました。
この作品は一見すると、ドライな写真表現のように感じられますが、淡くシックなブ
ルーグレーの色調は、回想シーンを思わせ、会食した日から時が止まったかのような
緩やかな時間の流れを感じさせます。
二人の間で一体何が語られたのでしょうか。楽しかったひとときだったのでしょうか。
窺い知ることはできませんが、その時に交わされた会話や微笑み、悲しみなど、すべ
ては淡くちょっとほろ苦いブルーグレーの色調が優しく包み込んでいます。
絵画は、対象を描きながらも、眼に見えない本質的なものを伝えており、一緒に過ご
した人が去ったあとの余韻、気配のようなものを描くのが実は「絵画」なのだと、こ
の作品は題名で問いかけているように感じられるのです。(相川)



※美術館からのお知らせ※

○ワークショップサポータの募集について
県立美術館が実施するワークショップに、あなたのお力をお貸しください。
平成25年度は、千葉ポートタワーや千葉市生涯学習センターなどの千葉市内の施設の
ほか、柏市に所在するさわやかちば県民プラザでワークショップを行う予定です。

18歳以上の方(平成25年4月1日現在)
健康で明るく、こどもが好きな方
美術・図画工作に興味のある方
こどもと一緒に創作を楽しみたい方
ボランティア活動をしてみたい方

詳しくは、電話で普及課ワークショップサポーター係までお問い合わせください。



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県美メールマガジン No.80 2013.3.15
〒260-0024 千葉市中央区中央港1-10-1
Tel 043-242-8311  Fax 043-241-7880
URL http://www.chiba-muse.or.jp/ART/
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返信いただいても、お答えできませんので、御了承ください。
返信は電話、Faxでお願いいたします。

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