残暑お見舞い申し上げます
夏の光。生命の躍動を感じさせる眩しい盛夏を迎えています。夏は旅。「描きたくなる 旅がある 千葉」こんな観光キャッチを目にします。
皆さまは旅先で、描きたくなる風景に出会ったことはありますか?
風光明媚で名高い勝浦の『鵜原理想郷』の自然はいかがでしょうか。海と大空と岬が同時に視界に飛び込んでくる名所です。
『鵜原理想郷』は太平洋の荒波に浸食され、切り立った岸壁が髄所にみられるリアス式海岸の一帯に位置します。その断崖には美しい地層模様が岩肌を走り海に突き出した岬の先端にまで海洋性の植物が茂り合っています。白い岩肌と周辺の森の緑と海の紺碧のコントラストが際立ちます。
この吸い込まれるような自然の造形に惹かれ、古くからこの地には多くの文人墨客が訪れ、この景観にちなんだ数々の作品が残されています。
当館にも、洋画家 富田通雄(明治34年~平成6年)の水彩画『外房鵜原』(昭和39年頃)を収蔵しています。鵜原の海岸沿いが高い目線から柔らかい筆致で描かれ、海と空を雄大に吹き流れる風を感じさせる作品です。
かつて浅井忠も房州方面に写生旅行に出かけ、そこで偶然黒田清輝と出会い、共に房州の自然を描いたというエピソードがあります。
鉄道網が完備されていない時代、房州には船で赴いたということですから、房総の風光明媚の海や山は、
多くの画家たちを惹き寄せていたことでしょう。
夏です。房総を旅し、絵筆をとってみてはいかがでしょうか。
房総の夏の美しさと描く喜びを再発見できるはずです。(渋谷)