突然ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチは今日の彼の名声とは裏腹に、完成作品は多くなく、これに比して膨大な量のスケッチを残しています。
というのも、彼には何かアイデアを生み出すことこそが芸術家のすべき仕事であり、絵を描くことはそれに従属する仕事だったからだそうです。いつも何をするにも、彼の成した仕事のことは頭をよぎります。
レオナルドはどのように世界を見ていたのか。
誰も考えたことのない発想は素晴らしいし、そんな目で世界を見てみたい。一方、あんなことがあったらいいなと考えているだけでは始まらず、どんなに段取りは悪く泥臭くても、実際に何かつくられた「かたち」には、その価値があるのではないかとも思うのです。
耐震補強工事のため休館している間、情報資料室もまた、お休みをしておりました。
一般公開に先駆け、休館中の美術館内では、情報資料室ボランティアの方々と共に、情報資料室再開室のための準備が進められています。
ボランティアには新しいメンバーを多く加え、通常の図書点検作業と、棚から本を出しての清掃が行われました。今年度より美術館に勤め始め、未熟さふがいなさを痛感すること多々の中、多くのボランティアの方に支えられながら整備を進めている情報資料室では、今まで陽の目を見ることの少なかったであろう資料たちがボランティアの方々によって発見され、息を吹き返し、新しい「かたち」が作られてくるのを見るようです。
(普及課 松田直子)