メルマガ読者のみなさんこんにちは。
学芸課長の金田幸代です。
11月17日(火)からはじまった特別展「香取神宮
― 神に奉げた美―」はもうご覧になりましたか。
香取神宮の特別協力をいただいて、国宝「海獣葡萄
鏡」 をはじめとする数々の文化財や、このたび初めて
一堂に集めて紹介する6点の「香取神宮神幸祭絵巻」
など見ど ころがいっぱいです。
目玉展示の一つに香取市にある荘厳寺所蔵の重要文化 財「木造十一面観音立像」があります。
平安時代初期の 像で、高さ3m25㎝のケヤキの一木
造りです。もとは香 取神宮の神宮寺にあった御本尊
で、明治時代の廃仏毀釈 の際に荘厳寺に移されたといわれます。
私たち学芸員は事前に調査を行い、保存の状態や搬
出・ 展示作業の際の手順を確認します。
そして安全に搬入し、 一番良い状態で見学していた
だけるよう展示室の造作を 考え、温湿度などの環境
を整えます。
搬入、展示は美術 専門の展示運送業者さんに頼み
ます。
この仏像を展示するまでのようすを紹介しましょう。
2日間かけて、美術専門の展示運送業者さんが荘厳
寺さ んの収蔵庫から美術館まで慎重に運び、第8展
示室に展示したのです。
1日目は荘厳寺さんの収蔵庫の中で足場を組みます。左手にある水瓶やお顔の周囲の傷つきやすい部分、
ロープ などが当たる部分に、綿を薄葉紙でくるんだ
「布団」 などの梱包材を巻いて吊り上げ、蓮台から外
します。
あらかじめ寸法を測って製作しておいた輸送用の台に横 にして固定します。光背と蓮台も同様に梱包し、
美術品 専用車でゆっくりと美術館に運び入れました。
翌日は展示室に足場を組み、展示台を設置したうえ
に蓮 台を置き、そこに御本尊を配置します。
状態を確かめな がら少しずつ作業を進めます。
足場を組んで吊り上げるチーム5人と梱包して輸送す
る チーム7人が協力し合い、作業は無事終了しました。
広い第8展示室でのそのお姿に、はじめは圧倒されますが、優しいまなざしに心癒されます。
作業のようすを写真にして、展示室で紹介しています。
是非当館へ足をお運びください。