プロフィール

 篠ア輝夫は、昭和4年に千葉県成田市に生まれました。千葉大学教育学部美術科に進学し、卒業後、生涯の師となる笹岡了一と出会います。
子どもの頃から成田山新勝寺の境内を遊び場としていた篠アにとって、身近な存在として絵馬がありました。その大和絵につながる絵肌に魅了され、絵馬や馬をモチーフとする作品を制作するようになった篠アは、古代〜近世の美術を追求するうちに、日本美術の源流をたずねて中国へ行きたいとの思いを募らせていきます。
昭和50年代に入り、念願かなって中国に入った篠アは、古い年式の車に長時間揺られた末にたどり着いた敦煌で、求めていたモチーフにめぐり逢い、身震いするほどの感動を覚えたといいます。そして取材を続けるうちに、さらに遠くへ、西域へ行きたいとの思いを強くし、西域地方へも足を踏み入れていきました。
毎年のようにシルクロードをはじめ中国各地に取材に出かけた篠アは、旅で出会った遺跡や風景、人物などから得た感動を、その都度スケッチに収めました。そしてスケッチに収められたものは、モチーフとして再構成され、圧倒的な色彩と筆致によって、壮大な歴史的・空間的スケールをもつ油彩画へとまとめあげられていきました。中国取材旅行とこの≪シルクロードシリーズ≫の制作は20年以上にわたって続けられ、その情熱に裏打ちされた作品は、篠ア作品の真骨頂ともなっていきました。
 

西域紀行

西域紀行

  篠アは、日展評議員、光風会常務理事、千葉県美術会会長などを歴任しました。また、後進の指導や教育、地域文化振興の面においても功績は大きく、千葉県教育委員会委員長なども務め、平成15年には旭日小綬章を受章しました。

≪篠ア輝夫≫

1929(昭和4)  千葉県成田市に生まれる
1952(昭和27)  千葉大学教育学部美術科卒業
           成田市立成田中学校教諭となる
1962(昭和37)  光風会会員となる
1965(昭和40)  私立成田高等学校講師となる
1974(昭和49)  千葉県美術会常任理事に就任
1980(昭和55)  日展会員となる
1990(平成2)  千葉県教育功労者表彰
1995(平成7)  千葉県教育委員会委員に就任
1996(平成8)  日展評議員に就任
1997(平成9)  千葉県教育委員会委員長に就任
2001(平成13)  地域文化功労者表彰(文部科学大臣)
           千葉県教育委員会委員長に就任
2002(平成14)  地方教育行政功労者表彰(文部科学大臣)
           光風会常務理事に就任
2003(平成15)  旭日小綬章を受章
2004(平成16)  千葉県美術会会長に就任
2005(平成17)  逝去(享年76歳)