シルクロード

 シルクロードは、中国をはじめとする東アジアと近東及び地中海世界をかつて結んでいた交易路です。絹を積んだラクダのキャラバン(隊商)がこの道を旅しましたが、商人ばかりでなく、各国の使節や武将たち、芸術家、旅行家も通りました。道が都市や国をつなぎ、さまざまな伝統や思想、美術様式などが伝わり、文化交流もさかんに行われるようになりました。

 シルクロードは、1本の道ではなくいくつものルートがあります。最も基本的なルートは、西安を出発して西に向かい(河西回廊)、オアシス都市敦煌を通過し、タクラマカン砂漠の北側または南側を通る二道に分かれ(天山南路路及び西域南道)、カシュガルのオアシスで再び合流するルートです。そこから先は、必要に応じて、いくつかのルートをとることができました。

   ・河西回廊:黄河上流の町・蘭州から瓜州(旧安西)に至る道。北はゴビ砂漠、南は祁連山脈に挟ま
   れた細い廊下状を呈するシルクロードの要路です。古来旅人はこの道を通り、敦煌から西の「西域」
   を目指しました。

   ・西域南道:敦煌からカシュガルに至る、タクラマカン砂漠と崑崙山脈の間を行く道。タクラマカン砂漠
   の南側に位置するオアシス都市をつなぐルートでしたが、それらの都市の多くは、今では砂に埋もれ
   ています。

   ・天山南路:敦煌からカシュガルに至る、タクラマカン砂漠と天山山脈の間を行く道。オアシス都市を
   つなぐシルクロードの主要幹線で、唐の時代の僧・玄奘(=三蔵法師)も、経典を求めて長安から
   インドへ向け、この道を通って苦難に満ちた旅をしました。

   ・天山北路:トルファンから、天山山脈北麓のステップ地帯を行く道。今でも牛や羊を放牧する遊牧民
   が往来する、草原の道です。地図から探す