建物に関わる職人たち                                                    
日本で、江戸時代末期から明治時代にかけて行われたものの建て方は、木材を骨組みとして造るため、基本的な構造はある程度決まっています。そのため、家造りに関わる職も決まっています。基礎工事に始まり、内装が終わるまでに、鳶職、大工職、左官職、建具職、畳職などの職人が関わってきます。
柱が地面に沈んで、建物が傾むかないように、地面を突き固め、礎石(そせき)という、柱をのせるための石を置きます。これを基礎といい、鳶職(とびしょく)の職人が行います。

大工職
建物は、様々な工程をとおってできあがりますが、中心は、大工職が行います。大工職は、基礎に、土台という太い角材を水平に載せます。土台に柱をたて、その上に屋根をのせるための材木を組み立てます。この仕事は、骨組みといいます。また、外壁が板張りの時は、大工職が行います。
日本では古くから、釘(くぎ)を使わずに、木材どうしを加工して上手につなぎ合わせました。そのつなぎの技術は、継手や仕口と呼ばれています。
隅留(すみとめ)ほぞさし割楔(わりくさび)じめ 腰掛け鎌(かま)継ぎ 追掛け(おっかけ)
大栓(だいせん)継ぎ

左官職

壁の種類によって職人は分かれます。真壁(しんかべ)や大壁(おおかべ)は、粘土や漆喰(しっくい)を使って塗っていく仕事で、左官職(さかんしょく)が行います。真壁は、防火のための造りではないため、柱などの木材は見えており、この造りの商家は、外壁の一部を下見板張り(したみいたばり)という板壁にすることがほとんどです。板壁は大工職(だいくしょく)が行います。大壁は、土蔵造りの壁の部分です。防火上、柱などをすべて土でおおい隠す造りのため、非常に厚い壁になります。

また、左官職は、土間やかまど、瓦葺きも行いました。

板葺き職


草葺き職

屋根には、色々な種類があります。大きく分けると、草葺き(くさぶき)屋根、板葺き(いたぶき)屋根、瓦葺き(かわらぶき)屋根の三つです。それぞれ、草葺き職、板葺き職、左官職の職人が行います。
茅(かや)は、ススキとも呼ばれ、草葺き屋根に多く使う草です。稲わらなどにくらべると、水をはじくので、屋根が長持ちします。板葺き屋根は、栗やさわら、杉の木の割板(わりいた)を使って屋根を葺くものと、杉皮を葺くものに分かれます。かつての瓦屋根は、土葺き(どぶき)という方法で葺(ふ)いています。引っ掛ける部分のある瓦を使う、現在の引掛け葺き(ひっかけぶき)と違い、杉の上に粘土をのせて、瓦を固定しました。関東地方では、関東大震災での大きな被害を境に、引掛け葺きに替わりました。
寄棟屋根 切妻屋根 入母屋屋根

建具職

内装には、戸や障子(しょうじ)、ふすまなど建具(たてぐ)をつくる建具職や、畳(たたみ)をつくる畳職などがあります。この他に、建具職が作ったふすまなどを紙をはる経師(きょうじ)という仕事もありました。
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