水口まつり(ミナクチマツリ)・タナドイマツリ
【稲作儀礼の一つで、種籾を苗代に蒔いたときに行う。苗代田の水口、畦、中央などに木の枝、季節の花、削り掛けなどをさし、焼米、洗米などを供え、稲の発芽、成長を祈る。】
 江戸時代の元禄期に出された『農業全書』(宮崎安貞著)の巻之二「五穀之類」の稲に関する記述の冒頭には、「稲は五穀の中で極めて貴い作物です。稲は太陰の精であり、水を含んでその穂をさかんにするといわれているように、水によって生長するのですから、土地の善し悪しはそれほど問題ではなく、まず水のことを考えるべきです。」という内容が書かれています。米作りにおいていかに水を大切に考えていたかを窺わせるものです。
 その大切な水を水田へ取りこむ場所のことを水口といいます。稲の種を苗代(苗を育てる田のこと)に蒔いた後、芽が出て無事に苗ができるまでの時期も、米作りにとっての重要な時期です。そこで、水口にお供えをして豊作をつかさどる「田の神様」をお迎えし、種が無事に発芽して苗に生長してくれることを祈ります。
房総のむらで見られる展示
上総の農家
安房の農家
さらに詳しく知りたい方へ