犬供養(イヌクヨウ)
行事は女性たちが集まって行います。彼女たちは、犬卒塔婆を持ち、鉦や太鼓を叩きながらムラ外れまで送っていき、道が分れているところに立てます。そして、持ってきた線香や米を枝に結び付け、ツトッコに握り飯を入れ、やはり、枝に掛けます。彼岸前後に行われるのが最も一般的ですが、犬がお産で死んだのを聞いたとか、実際に女性がお産でなくなったときには、そのつど行われます。
行事には「犬卒塔婆」とよばれる卒塔婆が使われます。これは二股に分かれた数十cmぐらいの木の棒で、その側面を削って供養の文句が書かれたものです。犬と安産の関係ですが、犬はお産が軽いのでそれにあやかりたいとするものや、お産の軽い犬がお産で死ぬのはただごとではないとして犬の死によって生じたけがれをはらってしまおうとするものなどいろいろな考え方があります。
下総の農家−印旛郡栄町竜角寺の事例
印旛郡栄町竜角寺では、二股に分かれているネムの木の技を切ってきて側面を削り、供養の文句を書きつけます。その犬卒塔婆を村外れの道が分かれたところに立ててきます。