■ミニトピックス展
山岳鳥瞰図作家・五百沢智也氏が描いた山 その1

―2016年8月11日『山の日』に向けて―

会期:平成27年8月11日~11月29日
会場:本館にて開催

 「山に親しみ、山の恩恵に感謝する」ことを目的にした新しい祝日「山の日」が、平成28年8月11日から施行されます。
 これに向けて、氷河地形研究者であり、鳥瞰図作家でもあった故・五百沢智也氏(千葉県一宮町)の山岳鳥瞰図や山のスケッチを、4回に分けて 紹介します。
 
第1回は、日本アルプスの広域展望図と題して、1970年代に、山岳雑誌「岳人」に掲載された北アルプス及び南アルプスを東側から見た広域展望図を、拡大して展示します。 迫力ある、山脈の峰々の姿をご鑑賞ください。

 <主な展示品>
 ・鳥瞰図拡大パネル 北アルプス東面(白馬連峰付近ほか4枚)
               南アルプス東面(北部、中部、南部3枚)
 ・鳥瞰図原画
 ・解説シート(五百沢式地形鳥瞰図の作り方など)
 ・中部山岳地形模型
 <シリーズ予定>
第2回 山のスケッチ画 
第3回 日本各地の火山地形
第4回 五百沢智也氏が描く富士山
平成27年12月15日~平成28年2月28日 
平成28年3月12日~6月5日
平成28年6月14日~8月31日
 <主な展示品>

五百沢智也画 「立山・後立山連峰」部分 岳人323号(1974)掲載
 この絵は、氷河地形研究者・山岳鳥瞰図作家として知られた、故・五百沢智也氏(1933~2013 千葉県一宮町在住)が、山岳雑誌「岳人」に日本アルプスなどの鳥瞰図を連載した際の1枚で、後に、「鳥瞰図譜=日本アルプス―アルプス・八ヶ岳・富士山の地形誌」 として出版されました。北アルプスを東上空から見た4枚の鳥瞰図のひとつです。この画像は、部分抜き出しで、立山~剱~鹿島槍にかけての部分を拡大したものです。
 東面から見ると、前景に、双耳峰の鹿島槍ヶ岳から南に連なる後立山連峰が続き、その後ろは、北アルプスを南北に分ける黒部川の谷があり、それを隔てて、毛勝山~剣岳~立山へとつづく立山連峰がスカイラインを描いています。
 氷雪に削られた尖った山容です。

五百沢智也画 「南アルプス東面・北部」部分 岳人358号(1977)掲載
 この絵も、五百沢智也氏の鳥瞰図で、東側から見た南アルプス3枚シリーズのひとつから、部分拡大しました。
甲斐駒ヶ岳より、仙𠀋岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳にかけての稜線です。
山頂部に小さなカールはありますが、峰はのびやかな、周氷河地形をまとった山容です。
 <五百沢智也氏紹介>
 <五百沢智也氏年譜>
1933年 山形県山形市に生まれる。 幼少の頃より山形県内やその周辺の山登りに親しむ
1952年 東京教育大学理学部地学科地理学専攻入学。 大学在学中、日本各地の山と岩場に登る
1957年 大学卒業、建設省地理調査所(1960年に国土地理院と改称)に勤務。
     5万分の1地形図の測量作成に携わる
1970年 国土地理院退職、以後フリーとなり、調査・執筆活動を行う。
     9月~11月、第1回 ヒマラヤ行(これ以降ヒマラヤ行は13回を重ねる)
1979年 岳人「氷の山・火の山シリーズ」をまとめ「鳥瞰図譜日本アルプス」(講談社)刊行
1983年 「日本アルプスおよびヒマラヤ山脈における氷河地形および地誌の研究」により、
     第19回秩父宮記念学術賞を受賞
1991年  千葉県一宮町に移る
2007年 千葉県立中央博物館 春の展示「山の科学画」開催
2013年12月 逝去

 <主な著書>
 鳥瞰図譜日本アルプス(講談社)
 ヒマラヤトレッキング(山と渓谷社)
 山と氷河の図譜(ナカニシヤ)など
(文責・企画展示 地学科・八木 館友・吉村)