| ニュース | 千葉県立中央博物館 |
| 千葉県立中央博物館の研究員が貢献 深海魚の3つの「科」が1つに −遺伝子分析が長年の謎を解いた− |
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| これまで長いこと別の「科」だと考えられていた ・リボンイワシ科(英名 tapetail) ・ソコクジラウオ科(英名 bignose) ・クジラウオ科(英名 whalefish) の3つの深海魚のグループが,それぞれ「仔魚」(注1),「雄」,「雌」であることが,千葉県立中央博物館・東京大学海洋研究所(注2)・米国国立自然史博物館(注3)・オーストラリア博物館(注4)などが共同して行った遺伝子と形態の詳細な解析で明らかになりました. この結果は,英国王立協会(注5)が発行する Biology Letters (注6)のオンライン版に2009年1月20日付けで発表(注7)されました. |
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体長の5倍以上もあるリボンのような尻尾が特徴.捕食者であるクシクラゲの擬態と言われる.全長80cm以上.ときおり沿岸に出現し、ダイバーに撮影される.下は本体を拡大したところ.胸鰭も長く伸びており,クラゲの脚のようにも見える.
3属5種が知られ、標本は全世界で120個体. |
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| リボンイワシ科の生態写真. メキシコ沖合 (撮影者:Donald Hughes) |
これが仔魚 | |
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英名のとおり嗅覚器官が肥大しているのが特徴.肝臓と精巣が肥大している.
4属9種が知られ、標本は全世界でわずか65個体. 写真は5.8cmの個体 |
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| ソコクジラウオ科の成魚. メキシコ湾から採集された個体 (撮影:G. David Johnson) |
これが雄(オス) | |
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クジラのような顔つきをしているためこの名がついた.2000m以深の深海に生息. 9属20種が知られ、標本は全世界で600個体あまり. 写真は9.8cmの個体 |
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| クジラウオ科の若魚 東部北太平洋で採集された個体 (撮影: Bruce Robison) |
これが雌(メス) |
| 千葉県立中央博物館動物学研究科の宮 正樹 上席研究員は、東京大学海洋研究所の西田 睦 教授とともに,魚類の遺伝子を分析・比較することによって進化の歴史を解明する研究チームを率いています.今回の発見のきっかけは,2003年に宮 上席研究員らが発表した、硬骨魚類の100の科のミトコンドリアDNAを分析してその類縁関係を明らかにした論文(注8)でした.その中で、リボンイワシ科とクジラウオ科のミトコンドリアDNAにほとんど違いがないことを述べ、驚きをもって受け取られました. その後の研究でソコクジラウオ科も含めてミトコンドリアDNAにほとんど違いがないことがわかり、共同研究者により形態の詳細な研究が行われた結果,これら3つの科は,1つの科の魚類の仔魚と雄,雌にそれぞれ相当するものと判明しました.「リボンイワシ科」では成魚の標本はなく,「クジラウオ科」は雄ばかり、「ソコクジラウオ科」は雌ばかりという謎が一気に解けたことになります.仔魚期と成魚(たとえばウナギ),成魚のうち雄と雌(たとえばチョウチンアンコウ)で形が異なる魚は他にも知られていますが、仔魚期と雄と雌がそれぞれ異なるというのは全く新しい発見でした. なお,この共同研究者の1人であるオーストラリア博物館のPaxton博士はこれらの科が属するクジラウオ目(もく;科の一つ上の分類階級)の分類が専門で,開館直後の1989年6〜7月に最初の外国人研究者として中央博物館に滞在し,その様子は「中央博物館だより」2号で紹介されています(注9). 国内(注10)、世界(注11)で報道され、様々なサイトやブログで反響を呼んでいます. 2009年2月26日追記:Nature 誌にこの発見を紹介する記事が出ました。(注12) |
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| 注1 仔魚(しぎょ) 卵が孵化(ふか)した後,稚魚になる前の発達段階 注2 東京大学海洋研究所 (→外部リンク) 注3 米国国立自然史博物館 (→外部リンク)プレスリリース(→外部リンク) 注4 オーストラリア博物館 (→外部リンク) 注5 英国王立協会 (→外部リンク) 注6 Biology Letters (→外部リンク) 注7 G. David Johnson et al. 2009 Deep-sea mystery solved: astonishing larval transformations and extreme sexual dimorphism unite three fish families. Biol. Lett. (→外部リンク) 注8 Miya, M. et al. 2003 Major patterns of higher teleostean phylogenies: a new perspective based on 100 complete mitochondrial DNA sequences. Mol. Phylogenet. Evol. 26, 121-138.(→外部リンクdoi:10.1016/S1055-7903(02)00332-9) 注9 宮正樹. 1989 パクストン博士中央博滞在記. 中央博物館だより(2): 6-7. 注10 朝日新聞(2009年1月24日) (→外部リンク) 時事通信(2009年1月25日) (→外部リンク) 注11 The Associated Press(2009年1月22日)(→外部リンク) 注12 Rory Howlett (2009) Taxonomy: Three into one will go. Nature 457: 973. (→外部リンク doi:10.1038/457973a) |
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