| きのこ小話 幻覚きのこを調査したワッソン氏 ワッソン氏（R. Gordon Wasson, 1898-1986）はモルガン銀行の副総裁でしたが，幻覚を引き起こすきのこにとりつかれ，職業のかたわら，中南米で巫女が利用する催幻覚性きのこの研究をおこないました． 当時第一線の研究者だった，フランスのきのこ分類学者ロ・ジェイム博士，スイスのサンド製薬のＡ．ホフマン博士らとともに度重なる現地調査をおこない，数多くのシビレタケ属きのこや，様々な民俗学的報告をおこない，数多くの著作を残しました． 幻覚きのこ文献 １）Roger Heim et Gordon Wasson. 1958. Les champignons hallucinogenes du Mexique. Archives du Museum National D'Histoire Naturelle Tome VI Editons du Museum, Paris. メキシコで昔から使用されてきた幻覚きのこの現地調査報告書で，パリの博物館から出版されている．きのこの分類は当時の第一人者のロ・ジェイム博士が，また民族菌類学の部分はＧ．ワッソンが担当しており，一級の報告書となっている． ２）Jonathan Ott and Jeremy Bigwood (eds.). 1978. Teonanacatl: Hallucinogenic mushrooms of North America. Madrona Publishers, INC Seattle. テオナナカトル（神の肉）とよばれる幻覚きのこに関する本で，幻覚きのこの歴史，テオナナカトルと幻覚物質シロシビンが西洋に知られるようになった歴史，などが手短に述べられている入門書． ３）Thomas J. Riedlinger (ed.). 1990. The Sacred Mushroom seeker; Essays for Gordon Wasson. Dioscorides Press, Portland, Oregon. 古代メキシコ文明の中で，利用された幻覚きのこの探求を，モルガン銀行のＧ．ワッソンが，きのこの分類のロ・ジェイム博士，化学成分の分析のサンド製薬のＡ．ホフマン博士とともに取り組んだ歴史を解説した入門書． |