「地域の音の出る地図」あなたの大切な場所の音環境調査

中央博物館生態・環境研究部生態学研究科 主席研究員兼科長 大庭照代

大庭照代主席研究員兼科長 顔写真

穏やかに刻まれる波音、ゆったりと空高く輪を描いてピーヒョロロロと鳴き交わすトビ、
のぞき眼鏡で海中を探る漁師を乗せタプタプと漂う小舟、
松のこずえを吹く風になる松籟(しょうらい)、浜辺をいく人々の声…
これらは私が中学・高校生の頃、2月初めの入試休みにひとり、
神奈川県三浦郡葉山町森戸海岸で聞いた音です。

40年たっても鮮やかによみがえる音風景は、私の大切な場所の音の記憶です。

個人的な音の記憶であったため、だれかに話したことはおそらくありません。
今になると、この記憶は地域の自然と歴史と文化をはらんだ昔の風景であり、
40年後の今、同じ場所で聞くものとは違うのです。

自然も人々の生き方も不変ではありません。
同じ場所の音環境でも、音の種類や響き方が移り変わります。

昔と今そして未来には、私たちが心の中で響かせる音風景も変わるでしょう。

だからこそ私たちには未来に伝えたい、伝えなければならない音が存在します

地域の音環境を記録して未来に伝える地理情報ネットワークシステム、「地域の音が出る地図」のウェブサイト、「全球パノラマ音空間像」アプリ

音や情報に係る技術躍進により、故郷や旅先でみつけた大切な場所の音環境を、たくさんの人に聞いてもらえるようになりました。
この研究では、共同研究員の日本大学生産工学部マネジメント工学部、准(じゅん)教授の豊谷純先生の協力により、私たちの音環境の今を記録する「地域の音が出る地図」のウェブサイトと、記憶の中に響く過去の音を再現し、未来に伝えたい音環境のイメージを表現する「全球パノラマ音空間像」アプリを開発しました。

パソコン画面のイラスト

これらの方法を使えば、私たちの郷土の豊かな音環境を記録し、未来の世代へ伝えることができます。
「地域の音が出る地図」では地域の皆様とともに2004年以来、 生態園や千葉県の調査地点で収集した音を公開しています。

なお、実際に音声を聞いたり、パノラマ画像を見るにあたって2つほど注意点があります。

注意1

ヘッドホンで聞く方が音質がよく聞こえる場合があります。しかし虫の音声の中に音量が大きいものがあるので、ボリュームを調節してお聞き下さい。また、長時間のヘッドホンの使用は音の大小にかかわらず、耳に負担がかかりますのでご注意ください。

注意2

パノラマ画像をご覧になる際、マウスを早く動かすと音が飛んだり、人によっては乗り物酔いに似た症状を感じる場合があるので、
マウスはゆっくり
動かしてください。

以上の点に気をつけて、音声と映像をお楽しみください。
それでは実際に音声や、パノラマ画像を見てみましょう。下のメニューから、「地域の音が出る地図」に直接入る方は、
「地図へ行く」のボタンを、説明をご覧になる方はそれぞれのメニューをお選びください。

  • 「地域の音が出る地図」に移動して実際に体験してみる
  • ログインの仕方。閲覧のみの方、編集をされる方、それぞれのログインの仕方
  • 音声の聞き方。音の地図の見方や、調査地点で録音された音声の聞き方の説明
  • パノラマ画像の見方。前後左右上下に展開する全球パノラマ音空間像の見方や動かし方の説明
  • よくある質問のページ
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