君津市宿原にお住まいのＴさんが標本を持参してくださった。生きたマイマイカブリである（写真）。カタツムリを専門に食べる甲虫で、この個体は体長約４センチ。
　Ｔさんのお話では、家の風呂場にいたものを採集したのだそうだ。マイマイカブリは冬ごもりの時期だが、普通は土の中や朽ち木にもぐり込んで越冬する。風呂場に入り込んで越冬するつもりだったのだろうか。それともＴさん宅の風呂場にはカタツムリがよくいるそうなので、それを食べようとして入り込んだのだろうか。
　マイマイカブリは北海道から九州まで分布する。地域によって形態や色彩に変異があり、８つの亜種に分けられている。中には胸部が赤や青や紫の金属光沢を持つ美しいものもいる。千葉県で見つかるのは色彩が比較的地味な関東・中部亜種だが、房総丘陵でみつかるのは全身ほとんど黒一色のものばかりだ。
　（尾崎煙雄）

　マイマイカブリ関東・中部地方亜種　Carabus (Damaster) blaptoides oxuroides（オサムシ科）