No.328 2005/12/27(火)

 冬の冬虫夏草


dummy    水のしたたる崖の濡れたコケの中に鮮やかな白い点。何かと思って近づくと、なんとキノコであった。それもただのキノコではない。チョウやガの蛹に生えるハナサナギタケだ。このように虫の身体に寄生するキノコを「冬虫夏草」と総称する。もともとは、冬虫夏草という言葉はコウモリガの幼虫に寄生するCordyceps sinennsisというキノコを指す中国語だったが、虫に寄生するキノコ全般をそう呼ぶようになった。冬虫夏草というからキノコは夏ばかりかと思うと、このように冬に発生する例もある。不思議な生物だ。

(尾崎煙雄)

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dummy ハナサナギタケ ハナサナギタケ dummy
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 ハナサナギタケ Isaria japonica(バッカクキン科)

 コウモリガ Endoclyta excrescens(コウモリガ科)

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