No.891 2010/11/10(水)

 ミヤマトベラ


dummy  清澄山系で見かけたミヤマトベラの果実(写真1)。つややかな黒い実はマメの類とは思えない。ミヤマトベラはマメ科の常緑小低木で、県内では清澄山系にしか生育しない。暖地の植物で茨城県が北限。
 同行していた演習林職員のSさんがこんな話を教えてくれた。「以前、植物の調査に来ていた学生が『ミヤマトベラの実をたくさん拾ってきました』というので見ると、全部シカの糞だったんですよ。」爆笑してしまった。しかし、たしかに大きさも形も色合いもシカの糞に似ているといえば似ている(写真2)。
 この話とは関係ないが、ミヤマトベラは近年増えている気がする。20年ほど前は見つけるとうれしくなるくらい稀な植物だったが、最近は清澄山系ならどこでも見つかるようになった。おそらくシカがこの植物を食べないからなのだろうと推測している。房総丘陵では過去数十年の間にシカの個体数が増加し、シカの好む植物が減少し、シカの好まない植物は増える傾向にある。
 (尾崎煙雄)
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写真1
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写真2
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 ミヤマトベラ Euchresta japonica(マメ科)

 ニホンジカ Cervus nippon(シカ科)

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