No.1176 2013/08/23(金)

 生痕化石 ロッセリア


dummy

 富津の海岸を歩いていて、十宮層と呼ばれる今から百数十万年前の海底にたまった地層に、見慣れたサツマイモ型の断面を認めた。ロッセリア・ソシアリスとよばれる生痕化石(生物体そのものでなく、巣穴やはいあとなど、生命活動の痕跡を示す構造)である。
ロッセリアは地層の垂直断面で見ると真上に伸びるサツマイモ型、あるいはミョウガの房のような形をしており、真ん中に管状の軸がある。軸のまわりの壁は、周囲より粒子の細かい泥でできており、縦長の紡錘形である。長さは数cmから大きなものでは20cm以上にもなる。地層の水平断面で見ると同心円状の円形で、中心に軸(穴)がある。

 ロッセリア・ソシアリスはその生痕種名「ソシアリス(social=群生する)」が示すように、密集して産出することが多い。この生痕は巣穴の化石で、形成者は浅い海底で穴を掘って住んでいたフサゴカイのなかま、と推定されている。巣穴の内側から、泥の壁の裏打ちをどんどん付け足していくことで、横断面で同心円状の模様の壁ができると考えられる。
 (加藤久佳)

dummy
dummy
写真1
dummy
dummy
写真2
dummy
dummy
写真3
dummy
dummy

 ロッセリア・ソシアリス Rosselia socialis

dummy


ニュース一覧へもどる