No.1191 2013/10/02(水)

 カビゴケ


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 清澄山系の谷底で低木の茂みをかき分けて歩くと、時おり強い臭気を感じることがある。かび臭いようでもあり、甘いような匂いでもある。この匂いの源はコケ植物だ。写真1はシロダモの葉だが、位置によって葉の色が違うのがわかる。右端の鮮やかな緑色は今年の春に展開した当年葉。その左に数枚まとまっているのが昨年春に展開した一年葉。さらに左には二年葉、三年葉と並ぶ。古い葉ほど葉の表面がくすんでいる。拡大してみると、古い葉の表面には細かなコケ植物が密生しているのがわかる(写真2)。これが匂いの源、カビゴケだ。カビゴケの葉の大きさは1ミリの半分ほど。この小さなコケ植物がシロダモの葉の表面を絨毯のように覆っている。このように他の植物の葉の表面に着生する苔を「葉上苔類」という。葉上苔類は空中湿度の高い渓谷などにしか見られず、カビゴケは千葉県では房総丘陵の一部の谷でしか見つからない。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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 シロダモ Neolitsea sericea(クスノキ科)

 カビゴケ Leptolejeunea elliptica(クサリゴケ科)

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