No.1213 2014/01/24(金)

 ヒミズ


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 小学生のHくんが「せんせい、これ」といって動物の死体を持ってきてくれた(写真1)。一見ネズミのようにも見えるこの哺乳類は、モグラの仲間のヒミズだ。「どこでみつけたの?」と尋ねると、「学校の外の階段のところ」とHくん。それを聞いて、「やはりそうか」と思った。ヒミズは山みちの途中で行き倒れているのをよく見かける。何故かわからない。でもたしかに野外の「階段の途中」のような場所で見つかることが多いのだ。ヒミズはモグラの仲間だが、モグラのように地下にトンネルを掘らず、落葉の下の地表を生活の場所にしている。それでも、多少は土を掘るようで、前脚の爪は発達していて穴掘りに適している(写真2)。昆虫やミミズのような小動物を食べるため、小さいながらも歯は鋭い(写真3)。そして、半地下のような環境に適応して、眼はほとんど退化しているのに、耳の穴は大きく、聴覚を頼りにしていることが伺われる(写真4)。Hくん提供のこのヒミズは、貴重な標本として預かった。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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 ヒミズ Urotrichus talpoides(モグラ科)

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