No.1293 2014/09/24(水)

 ムクゲコノハ


dummy

 夜の清澄山にて。灯りに飛来した大型のガ(写真1)。頭から翅の後端まで6センチほど。褐色の地に線を引いた抽象画のような模様は、見ようによっては美しい。しかし、このガの本当の美しさは前翅を開くと見える後翅にある(写真2)。鮮やかな朱色と紺と薄青の色遣いは、地味な着物の下に派手な長襦袢をまとった浮世絵の美人を思わせる。
 ところで、ムクゲという植物がある。別名ハチスとも呼ばれる大陸アジア原産の低木で、日本でもよく植栽されている。ぼくはムクゲコノハはムクゲを食草とするからこの名があるのだと思い込んでいた。ところが、ムクゲコノハの食草はコナラやクリやクルミ類などで、ムクゲを食べるわけではないらしい。雄の翅の縁に長い毛が生えているところから、「むく毛」と名付けられたのだそうだ。
 (尾崎煙雄)

dummy
dummy
写真1
dummy
dummy
写真2
dummy
dummy

 ムクゲコノハ Thyas juno(ヤガ科)

 ムクゲ(ハチス) Hibiscus syriacus(アオイ科)

dummy


ニュース一覧へもどる