No.1329 2015/02/13(金)

 清和公民館のヤドリギ


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 「公民館の裏にヤドリギらしきものがあるんですけど、見に来てくれませんか」と君津市清和公民館の職員の方から連絡があった。「ヤドリギの分布調査をしているので、見つけたら教えてください」とお願いしてあったのだ。ヤドリギはとても興味深い寄生植物で、おもにケヤキやエノキなどの落葉樹の枝に球状の塊となって寄生している。ヤドリギは常緑性なので、冬になると遠くからでも見つけやすい。ぼくは数年前から房総半島のヤドリギの分布調査を続けている。
 この日、公民館を訪ねてみると、たしかに裏手のケヤキにたくさんのヤドリギが寄生していた(写真1)。丸い塊のひとつひとつがヤドリギの個体で、このケヤキには大小合わせて10個近くのヤドリギが寄生している。大きいものは直径50センチを超え、樹齢10年以上と推定される(写真2)。若く小さいヤドリギもたくさんある。このケヤキの根元に、ヤドリギの種子を含んだ鳥の糞が落ちていた(写真3)。ヤドリギの種子はこのように鳥によって木から木へと運ばれ、分布を広げる。この木にもヤドリギの実を食べる鳥がやってきた証拠だ。
 それにしても、何度も訪れていた公民館にこんな立派なヤドリギがあったのに気がつかなかったとは。まだまだ調査が足りないと痛感した。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 ヤドリギ Viscum album subsp. coloratum(ビャクダン科)

 ケヤキ Zelkova serrata(ニレ科)

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