No.1350 2015/05/01(金)

 グンバイムシ1


dummy

 三島小の校庭の片隅にボケの木がある。2011年の春にオビカレハの幼虫に食い荒らされていたあの木だ。毎年この時期になると気にして観察しているが、あれ以来オビカレハは発生しない。
 今年はその代わりに葉裏でうごめく小さな昆虫をみつけた(写真1)。体長は3ミリほど。グンバイムシの1種だ。その名の通り、昔の武将が手にした軍配団扇(ぐんばいうちわ)の形に似ている。グンバイムシはカメムシの仲間で、日本では70種以上が知られている。いずれも植物食で、葉にストロー状の口を刺して汁を吸う。多くの場合、グンバイムシの種によって餌とする植物の種類が決まっている。ボケの葉にいたこのグンバイムシは、ボケの他にナシやサクラやモモなどのバラ科樹木を餌とするナシグンバイという種だ。ナシの害虫として知られている。ナシグンバイに吸汁された葉には白っぽいそばかす状の斑点ができる(写真2)。
 害虫とはいうものの、よく見るととても美しい昆虫だと思う。扁平な身体は繊細なレース編みのようだし、頭や胸は複雑な形の突起で飾られている(写真3)。これらの突起の形で多様なグンバイムシの種を見分けることができる。グンバイムシがもう少し大きかったら美麗昆虫として人気者になるに違いない。
 (尾崎煙雄)

dummy
dummy
写真1
dummy
dummy
写真2
dummy
dummy
写真3
dummy
dummy

 ボケ Chaenomeles speciosa(バラ科)

 オビカレハ Malacosoma neustria testacea(カレハガ科)

 ナシグンバイ Stephanitis nashi(グンバイムシ科)

dummy


ニュース一覧へもどる