No.1379 2015/08/14(金)

 ノコギリクワガタ


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 三島小の近くにお住まいのTさんが教室博物館にクワガタを届けてくださった(写真1)。立派なオスのノコギリクワガタだ。自動販売機に止まっていたそうだ。
 
 私:「ノコギリクワガタはこの辺では珍しいですね」
 Tさん:「そうなの?」
 私:「ミヤマクワガタが多くて、ノコギリは少ないと思います」
 T:「昔はノコギリが多かったと思うけど」
 私:「そうなんですか?」
 T:「私が子どもの頃はね」
 
 長い大あごを持つノコギリクワガタとミヤマクワガタ(写真2)は子どもに人気の甲虫だ。関東では平地に多いのがノコギリ、山奥に多いのがミヤマとおおまかに分布が分かれている。千葉県北部で育った私が小学生の頃に見つけたのはノコギリばかりで、ミヤマは幻のクワガタだった。
 今、三島小のある房総丘陵の中央部で昆虫の調査をすると、ミヤマに比べてノコギリの数はずっと少ない。いわゆる「里山の昆虫」であるノコギリクワガタは、深い森が発達したこの地域ではもともと少ないのだと思っていた。Tさんのお話の通り、かつてはこの地域にノコギリクワガタが多かったのだとしたら、それは森林の利用の変化によるものなのかも知れない。炭焼きが盛んだった数十年前にはノコギリクワガタが多く生息していたのだろうか。当時の標本やデータが残っていればわかるのだが。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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 ノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus(クワガタムシ科)

 ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus(クワガタムシ科)

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