No.1383 2015/08/28(金)

 タイワントビナナフシ


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 館山市にお住まいのFさんが、教室博物館にナナフシの仲間を届けてくださった(写真1)。ところが、ナナフシの仲間には間違いないのに、種名がわからない。明らかな翅があるのでトビナナフシ類だと思われるが、千葉県でよく見られるニホントビナナフシとは違う。昆虫に詳しいFさんもわからないという。
 ニホントビナナフシなら、体長は5〜6センチ、身体は緑色、翅の長さは腹部の半分以下。しかし、この標本は、体長8センチ、身体は褐色、翅の長さは腹部の2/3を超え、頭部の模様も違う(写真2)。ニホントビナナフシなら鮮やかな紅色をしている後翅も、ほとんど色がない(写真3)。もしかして、まれにしか見つからないニホントビナナフシの雄かもしれないと疑ってみたが、体長が大きすぎるし、腹部末端の形態も違う。
 博物館に持ち帰り、文献にあたってようやく謎が解けた。この標本はタイワントビナナフシであった。
 タイワントビナナフシは南西諸島から西日本にかけておもに分布し、関東では神奈川県に記録があったが、千葉県内では2012年に館山市で初めて記録された。県内ではとても珍しいナナフシで、キイチゴの仲間やフジ、ヌルデ、キク等の植物を食べるという。ナナフシとしては立派な翅を持っているが、長距離を飛ぶ能力はないらしい。今後、タイワントビナナフシは千葉県で分布を広げるのだろうか。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 タイワントビナナフシ Sipyloidea sipylus(ナナフシ科)

 ニホントビナナフシ Micadina phluctaenoides(ナナフシ科)

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