No.1397 2015/11/05(木)

 キッコウハグマ


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 秋晴れの中、調査のため山に入った。ヒノキの植林を歩いていると、足下に白い小さな花を見つけた(写真1)。キッコウハグマの花だ。高さ10センチほどの小さな草で、根元付近に数枚の葉をつけ、茎の先に直径1センチ弱の花を数個咲かせている。視線を上げると、この場所にはキッコウハグマが多いのに気づく。1メートル四方に1、2株ほどの密度で生育している。昼でも暗い常緑樹林の林床のあちらこちらに白い花が咲く様子は、まるで星空のようだ。
 キッコウハグマはキク科の仲間だ。キク科植物の「花」はじつは「小花」と呼ばれる花が集合したもので、植物学的には「頭花(とうか)」と呼ばれる。例えばタンポポの頭花は、たいてい100個以上の小花が集まってできている。ところがキッコウハグマは小花の数がとりわけ少なく、3個しかない(写真2)。それぞれの小花は5つに裂けた花冠を持つので、キッコウハグマの「花」には15枚の「花びら」があるように見える。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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 キッコウハグマ Ainsliaea apiculata(キク科)

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