No.1436 2016/05/06(金)

 ミツオビキンアツバ


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 三島小の校庭にあるカエデの木は幹にたっぷりとコケが茂っていて楽しい(写真1)。コケの隙間に隠れるようにして昆虫やクモがたくさん棲んでいるからだ。
 この日、子ども達と一緒にコケの虫ウォッチングをしていたら、一人の少年が「ここに毛虫がいる!」と声を上げた。「どれどれ」といいつつ私が見ても毛虫は見つからない。「コケを見間違えたんじゃないの?」と返すと、「違うよ、毛虫だよ」と少年は言い張る。こんなやりとりを3回くらい繰り返した。次の瞬間、コケの一部が動いた。
 少年の言うとおり、そこには1匹の毛虫がいたのだ。写真2の中央に横向きに写っているのがその毛虫である。体長は25ミリほど。「ほんとだ、君のいうとおりだった」と少年に敬意を表し、毛虫を観察した。ガの幼虫にはコケを餌とするものがいるので、きっとそのどれかだろう。しかし幼虫の外見で種を判定するのは至難の業。そこで、この幼虫を飼育して成虫になるまで観察してみることにした。
 コケを餌として飼っていたら、2週間後に蛹になった(写真3)。蛹はコケの隙間に埋もれるようにしていた。天敵から隠れるためと、地面に落下しないための両方なのではないかと思われる。
 さらに1週間後、蛹から成虫が羽化した(写真4)。ようやくこのガの種名が判明した。ミツオビキンアツバというヤガの仲間であった。このガの幼虫はコケ(蘚類)を餌とする。少年の発見から1ヶ月を要したが、これで一つの疑問が解決した。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4

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 ミツオビキンアツバ Sinarella aegrota(ヤガ科)

 


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