No.1492 2017/01/06(金)

 ヤドリギ


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 市原市との境に近い千葉市の丘陵地にて。近くにお住まいの方から教えていただいたヤドリギを観察しに行った。民家脇の狭い道路に面したケヤキにヤドリギが数株寄生している(写真1の中央)。一見して少し奇妙な印象を受けたが、その理由は後になってわかった。
 このケヤキは樹勢が衰えており、枯れ枝が目立つ。多くの枝を剪定(せんてい)した跡があるのは、通行人に枯れ枝が落ちては危険と判断されたためであろう。その剪定された枝の先にヤドリギが寄生していて、まるで毛槍(けやり)のように見える。
 ヤドリギが寄生した部分を拡大して見ると、寄生部位の先で枝が切られていることがわかった(写真2、3)。その部分の枝が太くなっているので、剪定される前からヤドリギが寄生していたものと考えられる。つまり、このケヤキの剪定を行った人は、わざとヤドリギを残したのだ。樹勢の弱った木を剪定する場合、普通、寄生植物であるヤドリギは取り除かれる。だから、このような枝先に丸々と育ったヤドリギが着いている様子はあまり見たことがない。奇妙な印象を受けたのはそのせいであった。この木の持ち主はヤドリギに愛着を持っているのだろうか。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 ケヤキ Zelkova serrata(ニレ科)

 ヤドリギ Viscum album subsp. coloratum(ビャクダン科)

 


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