No.1532 2017/07/10(月)

 ヒメハルゼミ


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 清澄山系にて。木の幹についたセミの脱け殻を見つけた(写真1)。頭からお尻までの長さは2センチ半ほど。ヒメハルゼミの脱け殻だ。付近を探すと成虫が見つかった(写真2)。羽化して間もないようで、全体に青白い。しかし、眼の前半が黒褐色、後半は青緑色と2色に塗り分けられているのはヒメハルゼミの特徴だ。
 この日の夜、灯りに飛んできたヒメハルゼミ成虫を撮影した(写真3)。羽化直後と違って身体にも翅の脈にもしっかりと色がついているが、眼の色の特徴は同様だ。
 ヒメハルゼミは照葉樹林(しょうようじゅりん)のセミだ。照葉樹林とは、シイやカシ等の常緑広葉樹を主体とした森のことで、おおまかにいうと日本の南半分に分布している。房総半島は照葉樹林域の北の端に近く、同様にヒメハルゼミの分布域の北限に近い。しかしヒメハルゼミの学名に「chibensis」とあるように、このセミは千葉県茂原市鶴枝(つるえ)の森で採集された標本に基づいて命名された。鶴枝のヒメハルゼミ発生地は国指定の天然記念物となっている。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3

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 ヒメハルゼミ Euterpnosia chibensis chibensis(セミ科)

 


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