No.1560 2017/11/01(水)

 地磁気逆転と市原市田淵の地層


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 方位磁石のN極が北をS極が南を示すのは,地球には磁気(地磁気)があるからである。この磁気は常に一定ではなく、長い地球の歴史の中では繰り返しN極が南を示す時代があった。市原市田淵の養老川の河岸にはちょうど地磁気が逆転する時期(約77万年前)にできた地層が観察できる(写真1)。当時、房総半島は深い海で、その海底には泥がたまっていた。この泥の中に含まれる磁性鉱物の粒子が当時の地磁気の向き(現在と逆)に並び、地層ができていく過程でその向きが固定された。地磁気の逆転は世界中でおこっていることなのでその時代の地層分布を調べるのに大変有効である。地球の歴史年表をつくっている国際地質科学連合は現在、田淵の地層がその代表になりうるか検討中である。(決まれば地質年表の約77〜12.6万年前の時代名が"チバニアン" になる?)。
 (岡崎浩子)

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写真1 養老川中流の河岸(市原市田淵)
看板のあるあたりに地磁気が逆転した地層が見えている。
(2017年8月2日撮影)
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写真2 地層に打たれている杭は緑は現在と同じ,黄色は中間,赤は現在と逆の極性を示す。
Byk-E(白尾火山灰)は(古期)御岳山から飛来したもので約77万年前の年代が得られている。
(2017年8月2日撮影)
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