No.1575 2018/1/12(金)

 ヤマアカガエル産卵


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 三島小学校のプールは森に隣接していて、水底に落ち葉が溜まっている(写真1)。毎冬このプールにヤマアカガエルが産卵にやって来る。1月下旬ころに最初の産卵が見られるのが普通だ。
 ところが今年はもう卵が産まれていた。1卵塊(らんかい)だけではあったが、まだ産卵が始まっていないことを確認するつもりで見に行ったものだから、びっくりした。透明なゼリー状の粘液に包まれた黒い小さな粒々がカエルの卵だ(写真2)。これを卵塊といい、1匹の雌が1つの卵塊を産む。
 千葉県ではヤマアカガエルが産卵するのは1月から3月にかけての真冬である。産卵が行われる時の気象条件には共通点がある。「暖かくて雨の降る夜」である。そこで1/12以前の気象データを調べてみた。
 すると1/8から1/9にかけて、産卵に適した気象条件になっていたことがわかった。一つの低気圧が8日夜から9日の未明に日本海を北東方向に進み、これを追いかけるようにもう一つの低気圧が太平洋岸を進み房総半島沖を通過した(図1)。
 三島小学校に近い坂畑のアメダスデータをみると、9日午前3時にいきなり10℃以上も気温が上がり、4時に17.5℃を記録した(図2)。1月としては異常といってよいほどの「暖かい夜」だったのだ。日本海の低気圧に南寄りの暖かい風が吹いたのだ。そして8日夕方に降り始めた雨は夜半に強まり、9日午前6時まで降り続いた。
 まさにヤマアカガエルにとっては産卵日和だったわけだ。しかし、産まれていたのは1卵塊だけ。1月上旬ではまだ産卵のできていなかったのか、それともカエルには「今夜は暖かいけれど、まだ早い」と判断する能力があったのだろうか。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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図1
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図2
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 ヤマアカガエル Rana ornativentris(アカガエル科)

 


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