No.1579 2018/1/26(金)

 アカミヤドリギ


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 木更津市内にて。エノキの木に多数のヤドリギが寄生している(写真1)。国道脇にあるこの木はヤドリギ観察にちょうど良い。
 大小合わせて50個体以上あるヤドリギの中に鮮やかな橙色の実が目立つものがある(写真2)。ヤドリギは雌雄異株で、実がなるのは雌株だけ。普通、ヤドリギの実は写真3のような薄い黄色で、遠目には白っぽく見えるのだが、写真4のように赤味の強い実を着けるものがある。これをアカミヤドリギと呼んで区別する。アカミヤドリギはヤドリギの品種で、実の色以外の違いは認められない。したがって、アカミヤドリギの「雄株」があったとしても外見で認識することはできない。
 アカミヤドリギは北日本に多く分布する傾向があって、北海道ではアカミの方が多い地域もあるようだ。逆に千葉県ではアカミは珍しく、県内でアカミヤドリギが文献として初めて記録されたのは2009年のことであった(小林 2009)。
 しかし多くのヤドリギを観察していると、千葉県内にもそれなりにアカミヤドリギがあることに気づく。感覚的にはヤドリギ雌株の1〜数パーセントといったところだろうか。

【文献】小林光子.2009.アカミヤドリギが市原市に.千葉県植物誌資料,(25):241-242.

 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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 エノキ Celtis sinensis(アサ科【A】、ニレ科【E】)

 ヤドリギ Viscum album subsp. coloratum(ビャクダン科【A】、ヤドリギ科【E】)

 アカミヤドリギ Viscum album subsp. coloratum f. rubroaurantiacum(ビャクダン科【A】、ヤドリギ科【E】)

 【A】:APG体系、【E】:エングラー体系

 


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