No.1658 2018/12/14(金)

 アオキ星型すす病


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 三島小の校庭にて。アオキの葉に黒い斑点があるのに目が止まった(写真1)。このように黒く汚れたような葉をときどき目にするが、この日はよく観察してみることにした。まず、黒い斑点は枝先の若い葉にはなく、昨年の春に展開した満1歳の葉にだけ見られた(写真1)。
 斑点の大きさは直径3〜7ミリほどで、5ミリくらいのものが多い(写真2)。それぞれの斑点は小さな黒い点が集まってできている(写真3)。さらに拡大して見ると、小さな点と点の間には細い繊維が網目状に拡がっているのがわかる(写真4)。斜めから見ると小さな黒い点は少し盛り上がっている(写真5)。
 文献を参考に調べてみると、この黒い斑点の正体は「アオキ星形すす病」というアオキの葉に見られる病気の一つで、葉の表面に「アオキ星形すす病菌」というカビの一種が寄生することで引き起こされる。「小さな黒い点」は「子嚢子座(しのうしざ)」という器官で、ここで胞子が作られる。細い網目状の繊維は「菌糸(きんし)」で、これを葉の表面に広げることにより病斑を形成する。
 こんなカビに寄生されたらアオキは迷惑だろう。しかし、アオキの葉の表面を生活場所にしている菌類がいる、と見方を変えてみると、カビもいじらしく思えてくる。

 【文献】神奈川県立生命の星・地球博物館 菌類ボランティア変形菌グループ, 2011. 入生田菌類誌資料 第1巻 , pp.12-13.

 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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 アオキ Aucuba japonica(ミズキ科)

 アオキ星形すす病菌 Asterina aucubae(ホシガタススビョウキン科)

 


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