No.1659 2018/12/14(金)

 クスサンの繭


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 館山市在住のFさんがクスサンの繭を持って来て下さった(写真1)。クスサンはヤママユガ科に属するガである。その繭は長径6センチ程度の俵型で、まるで透かし彫りのように多数のすき間がある網目構造となっており、通称「すかしだわら」と呼ばれる。
 クスサンは翅を広げると10センチ以上の幅となる大型のガ(写真2)で、日本全土のみならず、シベリアから台湾までの広い範囲に分布し、「屋久島以北亜種」と「奄美以南亜種」に分けられている。千葉県内では北部に多い印象があり、房総丘陵や南房総では見かけない。しかし、Fさんがこの繭を見つけたのは南房総市だそうだ。
 Fさんの話では庭木のアスナロにたくさんの繭がついていたとのことで、大半は羽化した後だったが、羽化した痕跡のない重みのある繭も一つ見つかった(写真3)。クスサンの成虫は9〜10月に羽化するので、これは羽化に失敗した繭かも知れないが、念のため継続観察することにした。

 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2(長野県産)
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写真3
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 クスサン屋久島以北亜種 Saturnia japonica japonica(ヤママユガ科)

 


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