No.1674 2019/3/8(金)

 シバヤナギ


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 房総丘陵にて。林道沿いの斜面でシバヤナギの花が咲いていた(写真1)。シバヤナギは関東地方、中部地方に分布する低木性のヤナギの1種で、樹高はせいぜい2メートルにしかならない。房総丘陵では、林道脇の崖などの陽当たりのよい場所に多い。
 ヤナギの仲間は雌雄別株で、この日見つけたのは雄株。雄株には雄の花序(かじょ)が咲く(写真2)。花序とは花の集まりのことで、このように動物の尾のような形をしているものを「尾状花序(びじょうかじょ)」という。シバヤナギの雄花序は長さ5〜6センチで、多数の花が花序の基部から先端に向かって順々に開花する。開花した雄花は雄しべの先端の葯(やく)の黄色が目立ち、未開花の雄花は赤い苞(ほう)に包まれていて、色のグラデーションが美しい。
 拡大して見ると雄花のつくりがわかる(写真3)。個々の雄花には花びらはなく、2本の雄しべとそれを保護する1枚の苞、そして雄しべの付け根付近にある丸い塊でできている。この塊を「腺体(せんたい)」といい、ここから蜜を分泌して昆虫を呼び寄せる。雄しべの長さは2〜3ミリ。
 3月22日に雌株を見つけたので花を撮影した(写真4)。雄花序に比べ、地味な印象だ。個々の雌花は、苞と雌しべと腺体のセットでできている。この雌しべの長さは3ミリほど。この雌花は咲いてから時間が経ってすでに受粉しているようで、雌しべの先端にあり花粉を受け止める器官である柱頭(ちゅうとう)は赤くなり、その下部にあって種子を宿す子房(しぼう)がすでにふくらみ始めていた(写真5)。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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 シバヤナギ Salix japonica(ヤナギ科)

 


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