No.1675 2019/3/13(水)

 地層を剥ぎ取る


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 地層の剥ぎ取りというのをご存知だろうか。これは文字通り、地層に糊(合成樹脂)をつけ、その上から布を押し付けて、布に地層が張り付いたら剥がすというものである(写真1〜3)。先日、市原市柳川の小さい谷あいで上総層群国本層(かずさそうぐん こくもとそう)の地層の剥ぎ取りを行なった。この地層には市原市田淵の養老川岸崖に見られる火山灰と同じものが挟まっている。白尾火山灰(びゃくびかざんばい;約77万年前の古期御嶽山の噴火による火山灰)といわれるものである(写真4)。この名前をどこかで聞いた方もおられるかもしれない。この火山灰を目印としてその上の地層が“チバニアン”と呼ばれるようになるかもしれないのである。この地層には貝化石や生痕化石(昔の生物の活動痕)が含まれている(写真5)。このような地層の実際の状態を野外ではなく博物館などで真近に観ることができるのが、剥ぎ取り標本である。
 (岡崎浩子)

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写真1
地層の剥ぎ取り現場。市原市柳川。
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写真2
地層に合成樹脂をつけ布(この場合はガラスウール)を貼り付ける。
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写真3
剥ぎ取られた地層。中央より下の白い層が白尾火山灰。
八木令子氏撮影。
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写真4
白尾火山灰の近接。
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写真5
中央の円形の白い筋が貝化石(巻貝)の殻の断面。直径約2cm。
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