No.1676 2019/3/14(木)

 ミシシッピアカミミガメ


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 調査のために小糸川上流のダム湖、豊英湖を訪ねた。渓谷状の入江の奥に向かってゆっくりとボートを進めていたら、前方正面の水面に何かがいるのに気づいた(写真1)。
 そろりそろりと近づくと、どうやらカメらしい(写真2)。水面にわずかにのぞいた倒木の上で日光浴をしているようだ。
 もう少し近づくと、伸ばした首に特徴的な黄色の縞がある(写真3)。ミシシッピアカミミガメのようだ。このカメの特徴である側頭部の赤い斑紋を見ようとさらに接近を試みたが、3メートルほどに近づいたところで水の中に逃げられてしまった。
 ミシシッピアカミミガメは本来アメリカからメキシコにかけて分布するカメで、1950年代以降、ペット用として輸入されたものが野生化し、今ではほぼ日本全国に分布している。
 近くに住む人の話では、最近も豊英湖の近くの陸地を歩いているニホンイシガメを見たという。ニホンイシガメは日本在来のカメだが、ミシシッピアカミミガメなどの外来種に圧倒され、さらにはやはり北米原産の外来種であるアライグマに捕食されるなど、その姿を見ることが稀になってしまった。豊英湖の生態系は北米に近くなっている。
 (尾崎煙雄)

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写真1
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写真2
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写真3
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 ミシシッピアカミミガメ Trachemys scripta elegans(ヌマガメ科)

 ニホンイシガメ Mauremys japonica(イシガメ科)

 アライグマ Procyon lotor(アライグマ科)

 


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