No.1693 2019/4/25(木)

 キジノオシダ


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 4月17日、県民の森の散策路で、濃い緑色の葉のところどころに赤みを帯びるシダを見つけた。房総の山で普通に見られる、キジノオシダという種らしい。「キジの尾」だなんて、鳥類専門の学芸員として聞き逃すわけにはいかない名前だ。博物館に戻ってさっそく収蔵庫に向かい、キジの標本をまじまじと眺めた。

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写真1
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 いったい、どのへんが「キジの尾」なんだろうか。
 長い尾羽の形? 一番長い真ん中の尾羽にある帯状の模様? 緑と赤の体色?
 そもそも、「キジの尾」に見えるのは葉の全体? 軸から分かれた羽片の1つ1つ? はたまた全く別の部分?
 キジノオシダの名付け親は、このシダのどの部分に、「キジの尾」のどんな特徴を重ねたのだろうか。考えるほどに、さっぱりわからない。
 しかし、大きな収穫があった。そんなことを考えながらじっくり観察すると、今まであまり気に留めていなかったキジの体の形や色、模様などの特徴に気づくことができたのだ。
 生き物の名前の由来を知ろうとすることは、いろんな生き物の特徴を捉える近道かもしれない!
 (平田和彦)

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写真2
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 キジノオシダ Plagiogyria japonica(キジノオシダ科)

 キジ Phasianus versicolor(キジ科)

 


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