No.1713 2019/07/03(水)

 ツチアケビ


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 清澄山系にて。暗い沢沿いに折り重なった倒木の陰に咲く黄色っぽい花が目を引いた(写真1)。

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写真1
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 ツチアケビの花だ(写真2)。この植物は葉緑素を持たず、光合成をしない。ツチアケビの場合、倒木を分解するキノコから養分を得て生きている。このような植物を「菌従属栄養植物(きんじゅうぞくえいようしょくぶつ)」という(以前は腐生植物(ふせいしょくぶつ)とも呼ばれた)。要するに、キノコ(菌類)に寄生して生きる寄生植物の一種である。

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写真2
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 ツチアケビの花を見れば、これがランの一種であることがわかる(写真3)。6枚ある花びらのうち目立つ色と形をしている1枚を「唇弁(しんべん)」という。この唇弁を持つのがランの花の特徴だ。花の後、やがて真っ赤なバナナのような形の果実がなる。これをアケビの実に見立てて「ツチアケビ」の名がある。
 (尾崎煙雄)

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写真3
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 ツチアケビ  Cyrtosia septentrionalis (ラン科)

 


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