No.1728 2019/09/04(水)

 オオキンカメムシ


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 清澄山系にて。道路脇に生えたアブラギリの木の大きな葉の上に何かが乗っている(写真1)。

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写真1
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 遠目にはゴミのように見えたが、オオキンカメムシの集団であった(写真2)。朱色の地に黒い斑紋があるのは成虫、エメラルド色の光沢を放っているのは幼虫だ。

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写真2
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 オオキンカメムシは幼虫も成虫もアブラギリの果実の汁を吸う(写真3)。アブラギリは南方の植物で、かつてその種子から油を取るために栽培された。油糧作物として利用されなくなった今でも、房総半島南部では陽当たりのよい林縁などでよく見かける。

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写真3
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 オオキンカメムシもまた南方系の昆虫で、房総半島南部の沿岸はその越冬北限に当たる。館山市や南房総市の沿岸ではミカンなどの葉の裏に成虫が集まって越冬しているのが見られる(写真4)。この日オオキンカメムシを見つけたのは清澄山中腹の標高300m程の場所。ここで越冬するには標高が高すぎるように思われる。アブラギリの実からたっぷり汁を吸った後、寒くなる前に温暖な海岸付近に降りて行くのだろう。
 (尾崎煙雄)

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写真4 ミカンの葉裏で越冬する成虫
 南房総市にて2018年3月撮影
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 アブラギリ Vernicia cordata(トウダイグサ科)

 オオキンカメムシ Eucorysses grandis(キンカメムシ科)

 


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