No.1740 2019/10/27(日)

 モミジバフウ


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 三島小の校庭にたくさんの木の実が落ちていた(写真1)。直径3センチほどのトゲトゲの球体。これはモミジバフウの果実だ。おそらく、9月の台風15号や10月の台風19号の風で吹き落とされたのであろう。グラウンドの芝生の上に足の踏み場もないほどに転がっていた。

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写真1
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 例年であればモミジバフウの実が落ちるには少し早い。木の枝を見上げると、吹き落とされなかった実が少しだけ残っていた(写真2)。10月は、このようにまだ緑色の未熟な果実が枝から垂れ下がっている時期だ。葉もまだ緑色を保っている。

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写真2
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 そして11月半ば過ぎには鮮やかに紅葉する(写真3)。この美しい木の姿を見るとモミジバフウが公園や街路樹に好んで植栽されるのもうなずける。モミジバフウは別名アメリカフウとも呼ばれ、北米南東部と中米が原産地であり日本の植物ではないが、各地に植栽されているので身近な樹木と言っても過言ではない。

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写真3 2016年11月18日撮影
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 紅葉が終わり、葉を落とした後でも、モミジバフウの果実は枝から垂れ下がっているのが目立つ(写真4)。12月になると、モミジバフウの果実を持って来られた方から「これは何の木の実ですか?」と質問されることがよくある。実の形が面白いのでクリスマスリースなどの素材に使おうと拾った人が、この実の名を知りたくなるのだろう。

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写真4 2018年1月12日撮影
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 実がなるということは、いつか花が咲いたということなのだが、モミジバフウの花を認識している人は少ないと思う。モミジバフウの花は4月に若葉とともに枝先に咲く(写真5)。花には花びらがなく、そうと知らなければ咲いていることに気づきにくい。写真5に写っているいくつもの丸い塊がそれぞれ花の集まり(花序)だ。雄の花序と雌の花序は別々で、写真の赤い矢印で示したものが雌の花序、他はすべて雄の花序である。花粉を飛ばした後、雄の花序はすぐに落ちてしまうが、雌の花序だけが秋まで残り果実になる。実に興味を持った人も、機会があればモミジバフウの紅葉や花に目を向けてほしいと思う。
 (尾崎煙雄)

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写真5 2005年4月15日撮影
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 モミジバフウ Liquidambar styraciflua(マンサク科)

 


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