No.1742 2019/11/01(金)

 山座同定


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 山座同定(さんざどうてい)というのは、展望地点から見える山の名前を地形図や方位磁針を使って明らかにすることである。本来は、現地で地図とコンパスを上手に使って山の名前を知ることができれば一番いいのだが、これが結構難しい。そのような場合、名前を知りたい山と、その周囲のすでに名前がわかっている山やランドマークを一緒に(最低2ヶ所)パノラマ写真に撮っておくと、後で家に戻ってから、地形図や分度器、定規などを使って山の名前を調べることができる。

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 小高い山の上からパノラマ写真を撮ると、中景にある山と遠景の山々は、ある程度距離が離れていても、写真ではほぼ一直線上に見える。君津市の人見神社から南方向を撮した写真も、中景の三舟山とやや離れた鹿野山の山並みがほぼ直線状に並ぶ(写真1)。ここで両端のA(鹿野山の白鳥峰)とB(三舟山の電波塔)の名前(地図上での位置)がわかっていて(写真2)、その間のCのピークがどこなのか知りたい場合、地図を用意して次のような作業を行う。

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写真1 人見神社からの眺望写真
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写真2 Cのピークはどこ?
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 (1)図1の地図上で∠AOB(Oは展望地点の位置)を分度器で測る
 (2)ABCが一緒に写った写真2の上で、AB、ACの長さを測る
 (3)∠AOB×AC/ABを計算(角度θ)
 (4)図1の地形図上でOAの線を基準に(3)で計算した角度θの線を引き、鹿野山の稜線にあるピークをさがす
 (5)Cは鹿野山の鳥居岬のピークであることがわかる

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図1 展望地点と写真の範囲のピーク(基図はカシミール3D スーパー地形を基に作成)
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 最近はスマホなどであっという間に山座同定ができるソフトもたくさんある。それらを利用するのもいいが、まずは自分で手元にある素朴な道具を使って調べ、その答え合わせに便利なソフトを使ってみてはいかがだろうか。
 (八木令子)

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