No.1749 2019/11/29(金)

 カワラヒワ




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 市原市の田んぼで、100羽以上のカワラヒワの群れを見かけた。飛ぶと、翼に黄色い模様がよく見えた(写真1)。この群れはカワラヒワだけであったが、他の鳥類も冬には群れる種が多い。二番穂や雑草の種子が食べられる田んぼは、様々な鳥類にとって厳しい冬をしのぐための重要な餌場で、多くの個体の命を支えていると言えるだろう。

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写真1.翼の黄色い斑がよく目立つカワラヒワ
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 また、開けた環境の田んぼは、天敵の接近を素早く察知するのにも都合が良いかもしれない。鳥が群れるのには、いろいろな理由が考えられるが、天敵に襲われにくくする狙いもあるだろう。多くの個体が集まったほうが、天敵の存在に気づける確率が増える一方で、もし襲われても自分が餌食になる確率は低くなる。このカワラヒワの群れも、ときどき田んぼから飛び立って、警戒のために近くの電線に止まり、周囲の様子を探っていた(写真2)。そして、安全とみれば田んぼに再び降りて採餌を続けた。

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写真2.電線に並んで周囲を警戒するカワラヒワの群れ
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 このとき、どんな個体が最初に食事を再開するのかは、非常に興味深い。電線に並んだカワラヒワは、どの個体もなかなか田んぼに降りようとしないが、ひとたび1羽が降り立つと、すぐに多くの個体が続く。それでも何羽かは電線に残って、用心深くその様子を見守っている。この光景は、カワラヒワの度胸試しのように思えた。

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(平田和彦)

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 カワラヒワ Carduelis sinica(アトリ科)

 


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