No.1750 2019/12/04(水)

 マメヅタ


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 房総丘陵にて。倒木の幹の上にはさまざまな植物が生えている。この木にはマメヅタがたくさん生えていた(写真1)。マメヅタはシダ植物の仲間で、幹の表面を這うようにつる状の茎を伸ばし、途中に多くの葉をつける。マメヅタには2種類の葉がある。写真1の左側に多く写っている丸っこい葉と中央付近に写っている細長い葉はどちらもマメヅタのもの。

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写真1
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 丸っこい葉の方は長さ1センチ強。これは「栄養葉(えいようよう)」と呼ばれ、もっぱら光合成を行う。細長い葉の方は「胞子葉(ほうしよう)」と呼ばれ長さ3センチ以上。こちらは胞子をつけるのが主な役割だ。シダ植物には花や種子はなく、胞子によって繁殖する。一部のシダ植物は、胞子をつける胞子葉と胞子をつけずに光合成のみを行う栄養葉の2種類の葉を持つ。胞子をつける胞子葉は種子植物(花を咲かせる植物)の花のような存在だ(写真2)。

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写真2
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 マメヅタの胞子葉の葉裏にてんこ盛りになっているのは、胞子が収まった小さな袋の集合で、これを胞子嚢群(ほうしのうぐん)という。たっぷりと胞子嚢群をつけたマメヅタの胞子葉を見ると、いつも「味噌田楽みたいだ」と思ってしまう。
 (尾崎煙雄)

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 マメヅタ Lemmaphyllum microphyllum(ウラボシ科)

 


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