No.1751 2019/12/04(水)

 カギカズラ


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 房総丘陵にて。林道脇で見つけたつる植物(写真1)。カギカズラだ。

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写真1
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 カギカズラは常緑性のつる植物で、葉は長さ10センチ前後。南方の植物で九州から本州に分布し、房総半島南部が分布の北限。千葉県レッドリスト2017年改訂版では「重要保護生物」とされている稀少な植物だ。その名の通り、葉の付け根にくるりと曲がった「鉤(かぎ)」があるのが特徴(写真2)。

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写真2
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 つる植物は他物に頼って上方に登る植物だ。アサガオのように他物に巻き付く方式と、ブドウのように巻きひげを使ってよじ登る方式などがあるが、カギカズラは「鉤」を使って登る。つるや巻きひげで巻き付くのはわかるが、鉤を使ってよじ登るというのはうまく想像できないかもしれない。だが実際に他の植物の茎に鉤を引っかけている様子を見ると納得がいく(写真3)。

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写真3
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 このカギカズラ、30年ほど前は房総丘陵の中でも南部に限られていたと記憶している。しかし近年は丘陵の北部でもよく見かけるようになった。シカが好んで食べないことも影響しているのかも知れないが、北限での分布が拡大している植物といえそうだ。
 (尾崎煙雄)

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 カギカズラ Uncaria rhynchophylla(アカネ科)

 


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