教室博日記 No.1776

 2020/02/21(金)

 ヤマアカガエルの幼生

 三島小にて。「プールのカエルを見に行こうよ」と子どもたちに誘われて、プールに行ってみた。水面をのぞき込んで「うわー!」と声を上げる子どもたち(写真1)。

プールをのぞき込む子どもたち
  • 写真1

 プールの縁の水面近くにオタマジャクシが密集していて、まるで黒い帯のように見える(写真2)。これはヤマアカガエルのおたまじゃくし(幼生)だ。

プールの縁に密集するオタマジャクシ
  • 写真2

 毎年の冬、このプールにはヤマアカガエルが産卵にやって来る。今年はとりわけ産卵が早く、1月10日には始まっていた(写真3)。あれから1月半ほどが経ち、卵から孵化(ふか)した何千という幼生たちがプールを泳ぎ回っている。

1月10日に確認したヤマアカガエルの卵塊
  • 写真3 2020/01/10撮影

 多くの幼生がプールの縁に集まっているのはなぜだろうと思い、水中から観察してみた(写真4)。幼生たちはプールの壁面に張りついているものが多い。プールの壁面は黄色から緑色にうっすらと汚れたように見える。これは付着藻類が繁殖しているためだろう。付着藻類とは水中の固体表面に付着して生活する藻類で、藍藻(らんそう)類、珪藻(けいそう)類、緑藻類などが含まれる。ヤマアカガエルの幼生はこの付着藻類を食べるために縁に集まっているようだ。

壁面に張りつくオタマジャクシ
  • 写真4

 プールの壁面はコンクリート製で、水色のペンキが塗られている。このペンキが所々細かくはげて、下地のコンクリートがまだらに見えている(写真5)。このペンキがはげた部分を狙って幼生が口をつけているように見える(写真5)。ペンキの表面より、コンクリートの表面の方が付着藻類が豊富なのだろうか。

ペンキのはげたコンクリートに口をつけるオタマジャクシ
  • 写真5

 プールの底には新たな卵塊も沈んでいた(写真6)。ヤマアカガエルの産卵は3月まで続き、プールの掃除が行われる6月まで幼生で過ごす。

新しい卵塊
  • 写真6
  • ヤマアカガエル Rana ornativentris(アカガエル科)

(尾崎煙雄)