教室博日記 No.1800

 2020/05/09(土)

 ヒメクロデオキノコムシ

 君津の山中にて。枯れ枝に生えたキノコにヒメクロデオキノコムシの集団を見つけた(写真1〜3)。ヒメクロデオキノコムシは体長4〜5㎜のハネカクシ科の甲虫だ。

枯れ枝のキノコに群れるヒメクロデオキノコムシ
  • 写真1
枯れ枝のキノコに群れるヒメクロデオキノコムシ(拡大)
  • 写真2
枯れ枝のキノコに群れるヒメクロデオキノコムシ(拡大2)
  • 写真3

 デオキノコムシ類は以前は独立の科として扱われていたが、今はハネカクシ科のひとつの亜科とされている。ハネカクシと同様に上翅が短く、腹部のうしろの部分が急に細くなり露出して尾のように見えることと、キノコに集まることが多いので“デオキノコムシ”なのだろう。けっこう素早く、採ろうとするとすぐに飛び立つかコロッと下に落ちて視界から消えてしまう。

 背面には毛がまったく無いが(写真4)、雄の腹面(後胸腹板)には見事に先が一様に丸く曲がったたくさんの毛が生えている(写真5)。この毛は雄にしか無いので繁殖行動に何か関係があるのだろうか。

ヒメクロデオキノコムシ標本写真背面
  • 写真4 ヒメクロデオキノコムシ 背面 体長4.8㎜
  •     標本番号 CBM-ZI 177790
ヒメクロデオキノコムシ標本写真腹面の毛
  • 写真5 ヒメクロデオキノコムシ 雄の腹面
  • ヒメクロデオキノコムシ Scaphidium incisum(ハネカクシ科)

(斉藤明子)