教室博日記 No.1831

 2020/07/09(木)

 穴の中のカマドウマ

 木更津の谷津田にて。奥の台地の下にポッカリと穴が開いていた(写真1)。きれいなU字型の穴で左にカーブして奥へと続いているので、先人が田んぼに水を引くために開けた穴のようだ(写真2)。

谷津田の奥の台地の下に開いた穴
  • 写真1
左にカーブして奥へと続く穴
  • 写真2

 入口からライトを照らすと、ボタボタボタっと音がした。内部の壁にいたカマドウマの大群が、明かりに驚いて跳ねて奥へと逃げていく音だった。写真3には十数匹が写っているが、これでもすでに多くが奥へ逃げた後だ。最初に壁に付いていたカマドウマはもっと密度が高かった。

穴の中のカマドウマの大群
  • 写真3

 大きさ(体長約2センチ)からマダラカマドウマかクラズミウマという種類だろう。カマドウマはキリギリスやコオロギなどに近いバッタ目の昆虫だ。成虫になっても翅を持たない。長いうしろ脚のジャンプ力はとても強く、一瞬で目の前から消えてしまうほどだ。虫や枯葉など何でも食べる雑食性で、夜間に活動する。どうやらこの穴はカマドウマの昼間の隠れ家となっているようだ。夜になると穴から出て、食べ物を求めてあたりをうろつき出すのだろう。きっと夜の谷津田は昼間とは別の世界に違いない。

  • マダラカマドウマ Diestrammena japanica(カマドウマ科)
  • クラズミウマ Diestrammena asynamora(カマドウマ科)

(斉藤明子)