教室博日記 No.1845

 2020/08/09(日)

 カジカガエル

 房総丘陵にて。乾いた尾根道の脇にモミの枯れ木があった(写真1)。

  • 写真1 モミの枯れ木

 幹にはキノコが生えかけており、樹皮の一部もはがれ落ちている(写真2)。はがれた樹皮のすき間になにかがいるのに気づいた。

  • 写真2 樹皮のすき間に何かがいる

 カジカガエルである(写真3)。すっかり幹と同化しているつもりなのか、カメラを近づけてもまったく動く気配がない。

  • 写真3 カジカガエル

 正面から顔を撮影しても動じない(写真4)。

  • 写真4 カジカガエルの正面顔

 ところで、カジカガエルといえば渓流のカエルと思われているのではないだろうか。たしかに春から初夏にかけては渓流の湿った岩の上で美しい声で鳴く様子が観察される(写真5)。

  • 写真5 春に渓流で見かけたカジカガエル

 しかしそれ以外の季節、つまり1年の半分以上、カジカガエルは森の中で生活している。指先の立派な吸盤で上手に木に登る。こうして餌となる虫が通りかかるのを待ち伏せているのだろう。

  • モミ Abies firma(マツ科)
  • カジカガエル Buergeria buergeri(アオガエル科)

(尾崎煙雄)