教室博日記 No.1846

 2020/08/09(日)

 スギの切り株

 房総丘陵にて。スギの植林地で間伐のために伐採された切り株(写真1)。なにかがおかしい。

なにかがおかしいスギの切り株
  • 写真1

 切り株の縁の部分をよく見ると、樹皮が巻き込むように盛り上がっている(写真2)。まるで傷口を覆うかさぶたのようだ。これは、この切り株が伐採された後にも生きていた(今もまだ生きている?)ことを示している。伐られた後に樹皮の部分が成長して盛り上がったのだ。

  • 写真2 写真1の切り株のアップ

 普通、スギの切り株は写真3のような姿である。

  • 写真3 普通のスギの切り株

 切り株の縁の部分は伐られた時のままで、樹皮と材の切り口は同じ平面でそろっている(写真4)。つまり伐採された直後に木は死に、傷口も修復されない。

  • 写真4 写真3のアップ

 写真1のような切り株はおそらく近くに生えた別のスギと根がつながっていて、伐採後もしばらくは生きているらしい(写真5)。根同士が直接つながっているのか、何らかの菌類が関与しているのかはわからないが、興味深い現象だと思う。

  • 写真5 写真1の切り株と隣に生えたスギ
  • スギ Cryptomeria japonica(ヒノキ科)

(尾崎煙雄)